今回はメルマガに頂いた質問とその回答です。
【質問】
a.業種:食品関連
b.扱い商材・サービス:食材
c.年齢・性別:23歳・男
今年の4月で社会人になった新卒です。営業をしています。口下手で、取引先との打合せでもあまり話せません。
あまり話せない=コミュニュケーションが取れない、と上司から叱責を受けることもあります。
上司からは「仕事の人格を作り、それを眺めながら制御しろ」がアドバイスだと言われました。
つまり、俳優のように別人格を演じろ、と言われたのです。
別人格ならスムーズに話せるし、叱られても関係ない。これが上司の理屈です。
しかし、別人格を作るなんて出来ないのです。上司からは叱責を受けておりましてこのままではうつ病になりそうで怖いです。
別人格はどうやって作るのでしょうか?また、うつ病はどうしたら避けられるでしょう。
【返答】
ご質問ありがとうございます。
色々とお悩みですね。成績にもつながる活動が出来ていないし、上司から言われる第三者(別人格)を演じることもできない。
まさに、八方塞がりでしょうね。
結論からいいますが、別人格を演じるなど、必要ないですよ。安心してください。なお、あなたの上司の言っていることは間違いです。
この点をまず認識してください。
何が正しくて間違っているのかをしっかり提示してくれる人を、ご自身のメンターとして持たれることを推奨します。わたしでよければ、質問をいただければ、おかしな方向に進むことはありません。あなたのメンターとして機能します。
1.営業で大切なこととは?
なによりもまず、聞く力です。あなたは口下手だということですね。思うことを言いたいようにうまく話せない。この理解で正しいですよね。ここで1つ明確にお伝えします。
「口下手で構いません」
口が上手くなる必要はありません。
先述の通り、傾聴力が大事です。お客さんが語ることをまずよく聞くこと。これにつきます。なお、演じている自分を遠くから見て、コントロールするのは難しいです。これができるなら、誰も苦労しないのです。
言い方を変えれば、俳優のように演じろ、とあなたの上司は言っているのです。できますか?そんなこと。わたしにはできません、少なくとも。
2.傾聴VS話すこと
わたしの話で恐縮ですが、少し話させてください。
わたしはどちらかというと、顧客をリードしながら会話をする方です。あなたからすると、「うらやましい」と思われるかもしれません。でもね、“話し上手がすべての面でいいわけではない”のです。
色々あるわたしの失敗談から、1つお話ししましょう。
顧客からある商品について質問がありました。その際、わたしは色々と話し過ぎたようなのです。なぜなら、顧客の担当者からは、「わかりました、結構です。そこまで言わずともわかりますから」と言われたからです。
相手の人は、技術分野でとても優秀で、知見の広い人でした。わたしは相手の能力を理解していたのに、ついつい説明して少しでも理解をして頂こうと思い過ぎたのです。正直、大変恥ずかしかった思い出です。
言いたいことは、『しっかり話す力があればいい』わけではないのです。
ですから、たしかに、「もっとちゃんと会話したい」と思っているのでしょうけど、会話がすべてではない、ともいえるのです。相手の話をとにかくよく聞くことです。ここからすべてが始まるのです。
では、よく話を聞いたらその後はどうしますか?
3.傾聴から始まる顧客への対応
くどいですが、傾聴は本当に大切です。傾聴とは、相手の話に耳を傾け、熱心に一所懸命に聞くことですね。一生懸命に相手の話を聞くとは、内容をよく理解すること。何を言っているのか分かれば、何を言うべきか決まってきますよね。
あなたがよく相手の話を聞けば、相手は「こちらのことを思うからこそ、ちゃんとよく話を聞く人だな」と感じます。聞いてくれていると思うからこそ、相手も通常よりも話します。
さて、しっかり話を聞き、相手の言っていることを理解したならば、あなたが次にやるべきことは決まってきます。
それは、相手への質問です。
4.質問力は営業の真骨頂だ
本当の営業は、相手の質問に答えるよりも相手に質問をします。質問をすることで、顧客の抱える課題や問題への理解を高めるのです。なお、質問力を身に着けるのが簡単とは言いません。なんでもそうですが、能力を自分の物とするには、それなりに時間を要するものです。
やはり、前を向いて努力する。これは人生に必要ですから。
さて、質問にはオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンがあります。
オープンクエスチョン:相手が自らの意見を述べる質問
例)
あなた:食材を購入される際、何を重視され、それはなぜですか?
顧客:食材の品質は当然大事です。そしてコストと品質のバランスを考えます。
あなた:バランスを考えるとはどういう意味でしょうか?
顧客:バランスとは、つまり...
このように、あなたの質問に相手が意見を述べられる質問がオープンクエスチョンです。
クローズドクエスチョン:相手が「はい、いいえ」あるいは「AかB」という択一式で答えられる質問の仕方
例)
あなた:今のお話ですと、こちらの製品と、そちらの製品ならば、こちらの製品のほうが好ましいということですね?
相手:はい、そうです。
※ 回答の範囲を限定的にするので、クローズド(限定された)クエスチョンと呼ばれます。
営業力とは『相手を説得する力でも強制する力でもありません』相手の求めを正確に知ることなのです。
まずはオープンクエスチョンで問いかける。相手が話したら、その内容から疑問に思ったり、もっと聞きたいと思ったところをさらに聞くのです。
これを繰り返すことで、相手の求めが見えてくるのです。
5.顧客と一緒に課題や問題を解決する
顧客の求めが分かれば、あなたの製品がどのように顧客のニーズ、課題、あるいは問題を解決するのか、考えてください。顧客も解決を望んでいます。
ですから、顧客ニーズを満足する製品・サービスを携えたなら、ここからは、顧客と一緒に考えていくのです。
「この製品なら、ご希望納期のみならず、お話くださった品質基準も担保できます」とあなた。
「それならコストはどうなの?」と顧客。
「コストは数量をまとめていただければ大丈夫です」とあなた。
ここに書いた会話はあくまでも例です。ただ、顧客ニーズに基づく製品・サービスを相手に提示するうえで、話し上手である必要性は一切ないのです。
整理すると、
- 相手の話をよく聞く
- オープン/クローズドクエスチョンをする
- 相手の求めを知り、提案して、一緒に考える
ということです。
見てお分かりの通り、話すことが主体ではないのです。ここまでのことを進めるうえで、やるべきことがあります。それはなんでしょう?
6.練習とリハーサル
読んで字のごとくです。練習をして、実際の顧客訪問前にリハーサルをする。これ、実はやる人のほうがはるかに少ないのです。
あなたは口下手だから困ると思っています。そして、顧客としっかりやる意欲を持っています。
だから、練習と訪問前のリハーサルはやってください。
なお、質問などはある程度メモ書きをしてください。それを見ながらでいいので声に出して練習してください。目の前に顧客が居ると想定してください。
2時間/週で構いません。毎日少しずつやって1週間で2時間です。これなら続けられるはずです。最初から顧客先でうまく行くとは思わないでください。
何事も練習ですからね。でも、ちゃんと練習していけば、少しずつ変化が起きていること、あなた自身が感じ始めます。
1ヵ月たち、半年たち、1年たち。おそらく半年くらいから変化の大きさを感じるはずです。
口下手でいいですよ。
でもね、それなりに会話が出来ていることを知るはずです。第三者など演じなくていいです。おかしいですから、必要ありません!!
ただ、ここに挙げたことは実行してください。口下手でも一流営業になれます。
応援しています。
しっかり練習して前進してください!!本件関連あるいは別でもいいので、何かあれば質問をください。
如何でしたか?営業に必要なのは話術ではないのです。真摯さ、相手を思う気持ち、信頼から顧客を創造する能力なのです。
【追伸】
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