こんにちは。行動変革プロデューサーとして
人、企業のトレーニング、コンサルティングを
行っている、西谷 信広です。
さて、今回はまぐまぐから発行中の有料メルマガ
から、いただいた質問とその返答です。
あなたは上司から交渉を任されたことはないですか?
いきなり振られた内容が実はけっこう大変な内容。
これありがちです。
さて、質問者さんは何を悩み、解消する術はいったい
なんでしょうか?
さっそく見ていきましょう。
【質問】
a.業種:メーカー
b.扱い商材・サービス: プラスチック部品
c.年齢・性別:36歳・男
こんにちは。
上司(42歳)から取引先との業務契約をまかされました。
難しい仕事を任されるのは信頼だと思い受けました。
ふたを開けてみて驚いたのですが、すでに契約の
話が出てから数年たっています。
心配になり顧客に連絡をとったところ、相手は呆れ気味です。
わたしが担当になったことを伝えて打ち合わせに行きました。
しかし、法律的な文言も難しくなかなか進みません。
既に数年たっていることも含め、どうやって話を進めたら
いいでしょう。上司は軽く考えていて、頼りになりません。
宜しくお願いします。
【解答】
質問ありがとうございます。いい質問です。これ、実はけっこう
ビジネスの「あるある」の話です。
職種によっては定型の契約書でOKの場合もありますが、
あなたはメーカー勤務ですね。よって、契約書の内容は一般的な
ものではないと、容易に想像できます。
さて、決めつけは良くないですが、おそらく、あなたの上司は
放置してしまったのではないでしょうか。悪気はないでしょう。
しかし、数年間放置した事実は反省すべきです。
また顧客も、日々の仕事の忙しさを理由に、放置したのです。
彼らも反省すべきです。
ちなみに、あなたは反省する必要はありません。
あなたは悪くないです。ここから仕切り直して前進するのみです!!
定型ではない契約はけっこう面倒なので...
私の部下(当時課長)も、あなたの上司と同じようなことをやって
しまいました。3年ほど放置していたのです。
当初、彼はわたし部下ではありませんでしたから、わたしはそんな
問題があること自体知りませんでした。
わたしの部下になって契約交渉を放置していることを知ったのです。
存在を明確に理解した段階で、既に、彼の部下に仕事を振っていました。
いちおう、協力するとは言ったようですが。
わたしが最終的には介在して解決はしたのですが、
その時のプロセスおよび私自身が契約で気を付けていた点なども
含めて、お話をしたいと思います。
なお、この際のわたしの部下の対応については、正直なところ、
相当叱りました。あまりに無責任ですからね。
過去の振り返りから現在まで、色々やり直しも発生する。
結果、わたしも含め、相当の時間を投資することになるのです。
会社にとって、このプロセスは本来避けるべきです。
それでは順番に見ていきましょう。
(1)契約の歴史をふりかえる
まず、あなたの上司に依頼をする必要があります。
彼の予定をおさえ、会議室をおさえ、ホワイトボードに
今までの経緯を時系列に書き出します。
その際、上司から渡された交渉に関わる資料は持参するのは
言うまでもありません。
エクセルを映し出して入力する方法でも構いません。
やりやすいほうでやってください。
いずれにせよ、左から右に〇〇年〇〇月という感じで順番に
記載してください。
細かいところは上司も覚えていないでしょう。
しかし、細か~いところではなく、大きめの細かいところ
(へんな表現ですが)は覚えているところもけっこうあるはずです。
時系列にこだわり書き出してください。
過去から現在までの流れをつかむことで、
これからどううべきが、ぼんやりと、時にははっきりと見えてくるからです。
集中すると色々と思い出すことがあります。記憶内容も書き加えます。
(2)歴史の中での節目を見つける
その時はどうだったのかに集中すると色々と思い出すことは述べました。
わたしの部下(先の課長:仮にMさんとします)も
「そういえばあの時は、客先のAさんがこんなことを言ったから、
あまりに一方的なので交渉が停止したんです」とか、言い出しました。
わたしからは、「それはどうしてそうなったのかな」と聞きますよね。
すると不思議なもので、「あの時は、顧客のこんな事情が
かかわっていました。それで相手も言わざるを得なかったのでしょう」と
いった具合に、話が比較的さらさら出てきます。
こうして話をしていると、例えば、2018年の3月から6月の間の節目は
このタイミングだなあ、といった具合に何が大切なポイントだったのか、
が見えてきます。
時系列表の大切なポイントだったところに印をつけます。
とにかくはっきり節目だとわかるようにするのがコツです。
節目付けを過去から現在までやると何がわかると思いますか?
『今まで何ができていて、何ができていなかったのか』が分かります。
また、顧客の姿勢・望み(契約期間、価格の変化、商流など)も
比較的見えてきます。
(3)対策を考える
● “できていない”に対する回答準備
出来ていないことに関する顧客への返答内容を吟味します。
くれぐれも強い内容にならないよう、言葉は考えてください。
わすれていけないのは、すでに数年放置しているという事実です。
放置の責任は顧客にもあります。ただ、自社にもあるのですから、
まずは自分たちのスタンスをはっきりすることです。
● 想定される顧客の姿勢・望みへの対応協議
あなたの会社は、契約期間を何年にしたいでしょうか?
価格はどのくらいなら受けられますか。上限下限、中間などなど。
検討する必要があります。
お分かりと思いますがあえて言わせていただくと、価格は
本当に大切です。ここの設定を間違えると、将来的に困ることに
なります。
上司とだけではなく、そのさらに上も含めしっかり
話し合いをする必要があります。
また、部長さんなども含めての議論では、
先の時系列の表は効果を発揮します。
表を見せて今までの流れを説明。
そしてどこが節目だったのかを提示する。
そのうえで価格に関してどうするかを話し合う。
表を見て説明を受けているのでわかりやすく
話もまとまり易くなりますよ。
部下のケースでは、課長Mも時系列にまとめる過程で
理解を新たにしました。
よって、Mと担当者の意見をいれた議論ができました。
だから、どれくらい価格に幅を持たせるべきかを
明確に決める事ができました。
くれぐれも価格には幅を持たせてください。
顧客と話す際には価格の幅の上限から話を始めて、
交渉の状況に応じて落としどころを探ってください。
また、価格交渉は何が何でも上司を連れていってくださいね。
商流はどうしますか?
たとえば、今までは代理店経由でした。
しかし、時系列でまとめてみると、どうも顧客は直販を
希望している。こんな時、どうしますか?
直販になれば中間マージンはカットするはずだと、
顧客は考えます。
代理店はあなたの会社指定か、それとも顧客指定か?
顧客指定でその代理店を実際に外すならば、
顧客が事前に話をする確約を、顧客から取ります。
あなたの会社の代理店ならば、代理店に事情を話して
外れることを受け入れてもらう必要があります。
この交渉は簡単ではありません。
上司、さらにその上に判断を仰ぎ、極力、交渉の席に
同席してもらいましょう。
あなたは確かに契約を進める担当者です。
しかし、価格や商流など会社にとって重要なことまで
すべて決めるわけではありません。
議論して、あなたの意見は大いに言ってください。
しかし、責任を持ちすぎてはいけません。
会社に責任は持たせるのです。
つまり、上司、その上の上層部に、です。
大切なことは、全体の把握と、必要な情報をしっかり
共有する能力です。
● 社内で決まったことは皆が知っている
議論を通じて決まった商流や価格、あなたの会社で重視
している点などはすべて書き出し、関係者で共有してください。
次に、誰が次回の顧客との会議に出るのかを決めます。
(4)顧客と話をしてみる
● 偵察隊として顧客との仕切りなおし会議に臨む
もし、顧客があなたの上司を信頼していないとおもれるならば、
まず、あなたが単独で仕切り直しの会議に出席ください。
相手の態度、姿勢、方向性を偵察しに行くわけです。
相手からこれを認めろとか言われると困ると思われますか?
心配無用です。
わたしも若いころ、「1人で行って大丈夫かな?」
という場面、実際にありました。
でも、アポを取る電話を掛けた際に、たまたま顧客のほうから
言ってくれた言葉ありました。
それは、
「今回は、仕切り直しだし、まずはお互いの理解のすり合わせをしましょう」
という言葉です。
おかげで、あくまですり合わせで済みました。
よって、あなたはまず電話口で、今回は仕切り直しですから、
わたしが一人で伺い、双方の理解のすり合わせをさせて
いただけますと幸いです、とか言ってアポを取ればいいのです。
訪問内容がはっきりしています。
よって、相手から「価格はこれにしてくれ」とは
言ってきません。
わたしはこれで、何とか乗り越え、知りたい情報も得て、
その後の交渉にプラスになることができました。
アポ取りの際の顧客の一言にも感謝しました。
万一、価格、納期、代理店有無、今後の方向性など聞かれた場合には、
「今回は主旨も違いますし、何も言えませんので今後にしてください」
と言ってください。
返答は避けてまったく問題ありません。
試しに言ってみた、に近いのです。気にしなくて大丈夫です。
顧客とのミーティングで注意すべきは、落ち着いて
相手の言うことを聞き、あなたは彼らの言っている内容に基づき、
時系列にした表で理解している点に注力して話すことです。
(5)社内で追加検討をする
偵察によって、顧客サイドの理解も知ることができました。
ここからは社内で持っている理解とのギャップを見直します。
ここを関係者で議論しましょう。
大切なことは、常に関係者に対して情報共有をはかって誰も逃げられない
状態にすることです。
また、あなたが情報発信をしてまとめていることは
皆が知っています。あなたの能力を皆さん感じるようになります。
(6)実際の交渉を再開する
ここまできたら、実際の交渉を再開します。顧客には、「再開ですから、
双方の出席者で再確認をして、意見をお互いに出しましょう」と伝えます。
これは、いきなり相手がガンガン要望を突っ込んでこないように
するための一言です。
(7)あとは流れができる
社内関係者の理解を一致させ、顧客の意見も知り、双方の意見のギャップも知る。
この状態になってからの契約に関する交渉は、ある程度スムーズに進みます。
なぜなら、お互いが進める意思があるうえ、内容を理解しあっているからです。
なお、法律上の記載などについては、必要に応じて弁護士にも意見を
聞くことは必要となります。
ただ、大事なことは、自社と顧客が何は同意して、
何は同意できていないのか、ということです。
ここまでのプロセスを経ていて上層部も入っていれば、
そうそう変なことにはなりません。
まず、時系列の表を作ること。そして、その表に肉付けをしていき、
皆で共有すること。中でも節目を感じとって目立つようにしておくこと。
しっかりと議論し、方向性を定め、顧客と向き合い、
修正をしてまた向き合う。
交渉って難しそうだと思うのですが、しっかりサイクルを回してやっていけば、
簡単ではないですが恐れるほどのものではありません。
まずは、プロセスを進めてみてください。そして交渉へと進んでください。
しっかりした準備があれば、大丈夫です。
焦らずに進めるてくださいね。
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