「やっつけ仕事」はどういう心理状態から生まれるのか?
「とにかくお客さんに返答しよう」
「答えられないといけないから、返事しよう」
「今、答えられないようでは、製品(サービス)を知らないと思われる」
これらの考えは、仕事をいい方向へ導けない可能性がたかいものである。
仕事は段取りが8割、9割。
何の準備もない回答は、その場しのぎの仕事だと言われかねない。
確かに、聞かれたことに即答すると気分はいい。
ただそれは、理解に基づく正しい答えであることが前提である。
確実に返答できるならば、相手の質問に即座に対応するべきである。
その場しのぎの対応は、失うものが大きすぎる
投げかけられた質問にすぐに答えられないようでは、相手に信用されなくなる。
相手に「よくわかっているな、この人は」と認めてもらいたい。
こんなことを思いながら、返答する人は多い。しかし、明確にわかっていない
状態でなされる回答は、相手に迷惑をかける。信頼を得ることはない。
わかっているはずなのに、しかし、拙速な対応をしてしまう場合がある。
なぜ、その場しのぎの仕事をやってしまうのか?
クライアント先の社員のAさんは、顧客に装置の寸法を聞かれた。
カタログを手元にもっていなかったAさんは、うる覚えながら返答をした。
後日、寸法の間違いが発覚。
顧客先のもつスペースには適合しないとわかった。
早くわかっていれば、両社間で相談して手のうちようもあったのだが、
すでに顧客の気持ちはAさんからはなれていた。理由は単純だ。
「正確な情報すら提示できない人間に、仕事は任せられない」というものだ。
この様に「とりあえず」やってしまう「やっつけ仕事」は綻びを生じさせる。
時間をむだにし、責任問題を引きおこす。
金銭面でも大きなダメージをあたえ、大変な事態に発展する。
精度のひくい返答をとりあえず提示するのは間違っていると分かっているはず、
なのである。しかし、人は拙速にことを進める場合が、実はわりとあるのだ。
この行動にロジックはない。あるのは感情である。
その感情とは?
「対応出来なかったら、相手にどう思われるだろう」
というものだ。
回答できない時に、相手にどう思われるのかを考えると、怖くなるのだ。
仕事を確実に進めるうえで、必要な意識とはなにか?
とりあえず返答するのは、実は楽である。すくなくともその場は。
答えられないと認めらないのでは?という不安感を一時、忘れさせてくれる。
お分かりの通り、いい対応のはずがない。
では、どうすれば、やっつけ仕事から脱却できるのか?
- わからないことはわからないと認める勇気
その場しのぎの答えは徹底的にやめる。代わりに、宿題として持ちかえる。
相手と返答するタイミングを合意。約束したタイミングまでに返答しよう。
- 熟知していると思っても、知らない可能性に対して謙虚に
製品・サービスなどをよく知っている場合の落とし穴。
それは「すべてを知っている」と思ってしまう点である。
よく知っているからこそ、全てを知る自分を演じてしまう。
常に知らないことはある、というスタンスを持とう。
- 確認及び、顧客への返答は常に迅速に行う重要性
知らないことは持ちかえったが、確認、返答が遅延したら意味がない。
拙速に答えず、しっかりした返答を提示しようとしても、約束の納期に
遅れるといい印象はもってもらえない。
確認も返答も迅速に、をこころがけよう。
以上3点を実行すれば、仕事は安定するし、まわりからの信頼もたかくなる。
仕事がはやく、確実に前進させる人は、ミスを正すためにまえにいた地点まで
戻るなどということはしない。だから、業務が確実に前に進むのである。
拙速に仕事を進める人は、間違いも多く、行きつ戻りつしながらとなる。
仕事は遅くなるし、成果も出にくい。
やっつけ仕事はやめて、1つ1つを確実に前進させる。仕事にリズムが生じる。
行きつ戻りつがないから、仕事に加速度がつく。
早くて確実な仕事が出来るようになる。
どうせやるなら、いい仕事のしかたをしようではないか。