行動変革プロデューサーの西谷 信広です。
今回は改めて基本に立ち返る大切さについてです。
仕事にしっかり向き合いたい人はぜひご一読ください。
営業力、仕事力を高めるために避けるべき言葉とは?
突然ですが、「そんなの当たり前じゃない」とか、「わかってるよ、そんなことは」とか、「当然じゃない、そんなことは」といったたぐいの言葉は頻繁に使わないほうがいいですよ、という話です。なぜなら、この言葉を発するたびに、“すべてを知っているわたし”のような魔法にかかります。そして、人の意見に耳を傾けることのできない人に変身してしまうのですね。
当たり前と言っちゃう前に考えてみる。それもかなりじっくりと。すると、「当たり前に感じるけど、いざ突っ込んで考えてみると、なるほど、こんな側面があるとは思ってもみなかったな」といった、新たな方向が見える場合があります。それも、ちょこちょこ、頻繁に。
こんな経験をすると、当然!!と思っていたことも考え始める。すると、視野がぐんぐん広がっていくのがわかります。だから、当たり前といっちゃわないようにするのは大事なんですね。
突っ込んで考えると、あなたの中で一番変わる点とは?
深堀すると新たな視点が見つかります。とても大切な変化点ですね。でも、それより大切なのは、人の話を素直に聞くようになることで得られる、謙虚さではないのか、という点。人に何か指摘された際に、「そんなことわかっているよ」と心の中で唱えた瞬間に、何も相手の言葉が入ってこなくなりますよね。
少しでも人から指摘事項があれば、「当たり前、といいそうだが、なぜそれなら、その当たり前を指摘されているんだろう」と考えるようにしたらいいと思います。仮に、あなたの発言や態度が誤解されていると感じる場合は、「相手に誤解させたのはなぜだろうか」と考えればいいのです。
自分の言い方なんだろうか、それとも内容がうまく相手に伝わらなかったのだろうか。態度であれば、指摘されたような態度をとったつもりがないなら、何が相手に思わせたのか、考えてみるわけですね。
誰も完ぺきではないからこそ、やはり、人から言われたことはいったんしっかり聞いて、考えてみる。この姿勢がとても大切なことなんですね。
営業現場でみかける、「それはやめたほうがいいですよ~」とは?
企業に属していたときも、その後も、こんな場面を部下あるいはクライアントの顧客先企業で目にします。
1.お客さんとお友達?
商談中です。お客さんと営業Aさんは親しい関係、です。ただ、お客さんであることに変わりはなく。
Aさんが商品説明をするとお客さんが、「そうですか。しかし、当社の方針に照らし合わせるとちょっと方向性が違いますね」といいました。すると、「やっぱりね~、そうなんだよね~」と営業Aさん。お客さんの顔に、一瞬、ぴくっと動きが。。。
顧客と親しくなるのは構いませんよね。いいことです。しかし!!あくまでも一線は引かないといけないでしょ、というお話ですね。お客さんの信頼は、あなたのやる仕事の中身により決まります。まるで友達のように話すことで信頼が築かれるわけではないのですよね。
2.わかりました、と元気に答えるのはよくない?
顧客に一通り製品の説明を終えたところのBさん。いい説明ができたと思っています。こちらから第三者としてみても、お客さんもだいたいお分かりいただいている様子です。
営業のBさんと彼の顧客である大手製造メーカーのS課長との間で質疑応答がしばらく続きました。
その後、S課長からの要望が出てきた時のことです。Bさんは要望事項をかたっぱしから「なるほど。わかりました」と、「後日返答します」、「それは確認後お知らせします」でどんどんこなしていきます。
気になったことはあったものの、S課長の性格も考えたうえで、その場は何も言わずに過ごしました。ミーティング後、BさんにS課長からの要望内容を説明してもらいました。その結果、S課長の求めのうち約80%について間違った理解をしていることがわかりました。
「わたしは仕事をよく理解しているから大丈夫」と思いこむと、けっこうな間違いを起こしやすいものです。先入観で物事を見ますからね。誰にでも起こり得ることですから、深刻になることはないのです。ただ、やはり思い込まないようにする努力は欠かせませんね。
ずいぶんはっきり質問内容を理解したと言っていたのに、後日もらった返答が的はずれだと、色々な意味で疑われかねないですから、要注意です。大切なことは、相手の質問や依頼内容の意図を理解することです。なぜその質問をするのか、そしてなぜ、その依頼内容なのかを、相手に聞くわけです。
私はわかっていますから、という考えに固守すると、相手の意図を知ろうという部分が吹き飛んでしまうのです。
3.新規顧客開拓とは、いったことのない会社を訪問することである?
これは企業に勤務していたころの話です。部下Cさんから連絡があり、新規顧客開拓であたらしいところに行くので同行しませんか、とのこと。
かねてより、新規顧客開拓をしてみるようには言っていたのですが、まだ、新規顧客開拓手法は教えていませんでした。なぜなら、手探りで一度やってみるのも大きな学びになると、知っていたためです。
酷なようですが、人に教わるばかりではなく、トライ&エラーも成長を考えると必要なのですね。
ただ、新規顧客開拓で必要な条件は伝えていました。会社の規模、専門としている分野へのマッチング度合いなどなど。顧客になり得る先を選定する9か条というものがあるのですが、それらはすべて一通り伝えていました。
新規顧客開拓の同行依頼ですから、もちろんCさんとともに顧客先へ向かいました。ところが、会社についてから違和感を覚えました。何かが違うのです。商談に入ってみたらやはり違いました。なんと、当社の扱い製品を先方は必要としていなかったのです。
業界トレンド情報を求めてアポに応じる方もいます。ですから、アポを取るときには注意が必要です。商談後、Cさんに質問をしました。「新規顧客を開拓しようという君の気持はいいし、うれしい。でも、今回アポを取るうえで、9つの条件はしっかり見たの?」と。
Cさんはしっかり見ていなかったそうです。9か条全部当てはまった先を見つけるのが大変だったのかもしれません。しかし、どこでもいいから初訪問すれば新規顧客開拓というわけではありませんね。
自分にとっての当たり前を変えるきっかけは?
『それはやめたほうがいい』の一部として3つご紹介しました。これら3つに共通するものはなんだと思いますか?
それは、謙虚さの欠如です。顧客のいうことはなんでも聞くような態度では、ただしい判断はできません。つまり、正しい問題解決策を提示することもできませんよね。
ですから、顧客とある意味、対等な関係を保つことは大切です。しかし、なんでもわかっている、あるいは当たり前と考えがちだと謙虚さを失います。下手をすると尊大になる危険性もはらんでいます。
謙虚に言葉を聞き、意味を考え、どうしたらお客さんのためになれるのか、助けられるのかを考える。そして、あまりに大きな間違いを相手がしている場合は、ちゃんと方向修正という選択肢を提示する。対等な関係を心掛け、相手の立場に立てなければ実行は難しいですから、そこには謙虚という要素が必須なのです。
また、顧客からの要望を正しく理解できないことも、新規顧客開拓をするうえで重要な心構えをつい忘れてしまうのも、謙虚さの欠如からくるのです。自分は仕事内容(製品含め)をよく理解している、と思い込めば、相手の要望を自分の理解に合わせてしまいます。つまり、自分の世界観で物事をとらえてしまい、相手の本当の求めに気づかなくなるのです。これでは、本物のキーマンと関係構築することは大変難しくなるでしょう。
顧客との仕事を前に進めるには、とにかく謙虚に耳を傾ける。相手の意図を知る。そしてほんとうにこの理解で正しいのかを考える。深堀する。理解が正しいか再確認する。この姿勢のない人ほど、「こんなこと当たり前だよね」とさらりと言ってしまいがちです。
あなたが、謙虚さは大切なものであり、なんとかして身に着けるべきものだと認識しているとします。この場合、当たり前に見えたり感じたりするものほど、実はそう簡単に考えてはいけないし、正しく実行するのは難しいのだ、ということを、あなたはよく理解しています。
「こんなこと当たり前だろ」、「この程度のことを言われる必要ないよ」、「当然のことはできているから」という言葉を吐く人は、みずから、「わたしはすべてを知っていると錯覚していて、自分の成長にあまり関心がありません」と言っているようなものなのです。
当たり前と感じることも立ち止まって確認してみる。内容を吟味してみる。違う角度から見てみる。すると、別の見方をしているのですから、新たな発見がある場合も多々あるわけなのです。これはつまり、行動変革なのですね。行動を変えてみるのです。もし、正しくなければもとに戻せばいいじゃないですか。やってみれば必ず学びがある。だから損なんてない。
私が出版した書籍も同じです。『誰でもできるのに、1%の人しか実行していな仕事のコツ48』という書籍ですが、この本には、当たり前と思われることもたくさん収録しました。
なぜなら、こんなの当たり前という人ほど、実は、“その当たり前の本質”を理解していないという場面にたくさん遭遇したからなのです。
書いてあることをあなたの視点で色々な角度から考えてみる。そして深堀してみる。あなたなりのとらえ方をしてみる。すると、新たにみえるものがあるはずです。
営業職だけではないのですが、仕事人として成長するには、“当たり前を本当に当たり前に愚直にできる力”が必要不可欠です。ただ、実行するには色々と存在する“仕事の当たり前”にあなたの定義を明確にもつ必要があります。
しっかりと深堀して定義をもち、それを愚直に実行する。地味に感じるかもしれませんが、この繰り返しこそが、あなたの成長を促し、必要不可欠な人材と言われるようになる近道なのです。
「そうだよな、これはあるな」とか、「そうそう。これはたしかにそうだ」、「言われてみると確かに当たり前か。でも実行できていたかな」と思いながら読み進めていただき、1つ1つについて自分ならどう実行するのか、を考えてみていただければ、と思っています。
営業として成長したい、悩みを解消したいという方に、ぜひともシェアくださると大変うれしいです。